2025年4月に調査した最新論文の中で個人的に興味深かった論文を以下に紹介する。
Antenna-Integrated and PA-Embedded Glass Substrates for D-Band InP Power Amplifier Modules
X. Jia, X. Li, J. Woo Kim, K. -S. Moon, M. J. W. Rodwell and M. Swaminathan
3D Systems Packaging Research Center, School of Electrical and Computer Engineering, Georgia Institute of Technology, USA
IEEE Transactions on Components, Packaging and Manufacturing Technology, vol. 15, no. 4, pp. 782-791, April 2025
DOI: https://doi.org/10.1109/TCPMT.2025.3549371
要旨:
本論文では、140 GHz InPパワーアンプ(PA)フロントエンドモジュールのための新しいアンテナインパッケージ(AiP)ソリューションを提案する。PAは低損失誘電体層(ABF-GL102)に挟まれたガラス基板(AGC EN-A1)中心に埋め込まれており、20 µmの誘電体ビアを介してダイとパッケージ間の超短距離接続を実現。140 GHzにおいて挿入損失は0.2–0.3 dB、S11/S22は−15 dB以下と非常に優れた特性を持つ。さらに、2段および3段構成のInP PAを内蔵し、それぞれ11.1 dBおよび15.8 dBの小信号利得を達成。PA出力に直結された1×8のマイクロストリップパッチアンテナアレイは、最大利得12.9、25.3、29.7 dB(単独アンテナ、2段PA、3段PA時)を記録し、優れた放射特性と熱特性を示した。
従来研究との新規性:
ガラス基板内にPAを直接埋め込み、アンテナとの一体構成を初めて実証。
従来の接続方式に比べ、損失を0.2–0.3 dBまで抑制。
3段PAモジュールで29.7 dBという極めて高い利得を記録。
140 GHz帯の広帯域(5 GHz)と高ゲインを両立した統合パッケージの初事例。
High-Temperature Electrical Characteristics of High-Voltage AlN Schottky Barrier Diodes on Single-Crystal AlN Substrates
D. Herath Mudiyanselage, D. Wang, Z. He, B. Da, J. Xie and H. Fu
School of Electrical, Computer, and Energy Engineering, Arizona State University, Tempe, AZ, USA
IEEE Transactions on Electron Devices, vol. 72, no. 4, pp. 1637-1643, April 2025
DOI: https://doi.org/10.1109/TED.2025.3537073
要旨:
本研究では、単結晶AlN基板上に作製した高電圧AlNショットキー障壁ダイオード(SBD)の高温電気特性を包括的に評価した。アノード-カソード間距離(LAC)5、10、25、50 µmのデバイスを比較し、5 µmデバイスはオン/オフ比10⁷、理想性因子η ≈ 1.65、障壁高さϕ_eff ≈ 1.94 eVと理想的な整流動作を示した。他のLACでは表面電流の影響によりTEモデルから乖離。ブレークダウン電圧はLACに応じて0.64〜2.3 kVの範囲であり、フィールドプレート導入により2.6 kVまで向上、リーク電流も2桁減少。高温(最大623 K)でのI–V、C–V解析により、活性化エネルギーEₐ ≈ 200–356 meVを確認した。
従来研究との新規性:
単結晶AlN基板上においてLACによるTEモデルの逸脱を系統的に実証した初の報告。
フィールドプレート構造の導入により、2.6 kVという高BVと低リーク電流を達成。
高温下におけるC–V測定に成功し、より正確なEₐの算出が可能に。
5-kV SiC Deep-Implanted Superjunction MOSFETs
R. Ghandi, C. Hitchcock, T. Saha, E. Delgado and S. Kennerley
GE Aerospace, Niskayuna, NY, USA
IEEE Electron Device Letters, vol. 46, no. 4, pp. 553-555, April 2025
DOI: https://doi.org/10.1109/LED.2025.3536382
要旨:
本研究では、36 µmの深さにn型およびp型柱状構造(スーパージャンクション柱)を形成した5 kV級SiCスーパージャンクション(SJ)MOSFETを開発し、その特性を報告する。デバイスは超高エネルギーイオン注入(UHEI)と3回のエピタキシャルオーバーグロースにより製造された。ピラー間隔8 µm, 10 µm, 12 µmのMOSFETを試作し、室温での特異オン抵抗(Ron,sp)は9.5 mΩ·cm²と、SiCユニポーラ理論限界より25%低く、アバランシェ破壊電圧(BV)は5.1 kVで安定した特性を示した。さらに、リーク電流密度は4 kVまでで0.1 mA/cm²未満と極めて低かった。
従来研究との新規性:
5 kV級SiC SJ MOSFETを、3回のエピタキシャル成長+深部注入で実現した初報告。
Ron,spが9.5 mΩ·cm²、SiCユニポーラ限界の25%下という記録的性能。
リーク電流密度が0.1 mA/cm²以下という低損失を実現。
※なお、翻訳にはChatGPT-Paper Interpreter (Japanese)を活用した。