2025/2/7(広島大), 11-12(東京農工大)に開催された1st International Workshop on Global Research Initiative for Wireless Technology (IGROW)(https://grow-thz.org/)国際会議にオンライン参加した。オーラル25件、ポスター26件(オンサイトのポスターセッションは不参加)の内、個人的に興味深かった発表を以下に示す。
■(Invited) A 300-GHz-Band 36-Gb/s Scalable 2×2 2D Phased-Array CMOS Transmitter and Receiver(広島大)
PCB基板に形成された3×3アンテナ(MainとAuxiliary)とその裏面に2×2 CMOSチップ(TX, RX)のフリップチップ実装。アンテナピッチが0.54λ。275 GHzでTXはE/H面ともに±30度のビーム制御が可能であり、RXはE面で若干劣化。周波数帯域がTXで263-279 GHz、RXで262-275 GHz。通信距離5 cmでデータレートがTXで40 Gb/s(16QAM)、RXで36 Gb/s(QPSK)。詳細は、
https://doi.org/10.1109/iWAT57102.2024.10535883
https://doi.org/10.1109/RFIC61187.2024.10599981
■Ultra-spot-based Terahertz Large-file-transfer applications for Autonomous Mobility using IEEE802.15.3d compliant system(NICT)
高速大容量データ転送のための「Ultra-spot」という概念。60 GHz帯のTransferjet X規格チップでのデータ転送デモ。将来的には300 GHz帯へ移行予定。さらに、60 GHz帯域において飛行中のドローン間で120 MBのデータ転送の実証。2018年に筆者も参加した電波産業会(ARIB)のテラヘルツユースケース調査研究会にて検討されたドローンからのデータ転送が進展。ただし、今後どのようなデータを転送する必要があるかが課題。
詳細は、https://www.nict.go.jp/press/2023/05/24-1.html
■(Invited) Terahertz Sensing Using an Array Antenna with CMOS-RFIC ― Feasibility Study for Short-Range Tomographic Imaging(三菱電機)
CMOSを用いた300 GHz帯イメージングの研究。2024年IEEE VLSI Technology and Circuitsで発表されたCMOS増幅器は、4段から8段に改良され、ピークゲイン25 dB超、帯域幅15 GHz超(@>20 dB)を達成。278 GHzでのPsatは8.0 dBm超、ピークPAEは4.2%、消費電力は0.12 W。さらに、アンテナを再配線プロセスで作り、CMOSに接続。詳細は、https://doi.org/10.1109/LSSC.2024.3490547
■(Invited) An inverted-L monopole array antenna for D-band antenna-in-package modules(東京科学大, NICT)
スマホ向けDバンド帯アンテナインパッケージ(AiP)研究。端末側の研究は少なく新鮮。28 GHz帯で使われる逆Lアンテナが、150 GHzでは基板厚0.5 mmがλ/4となりモノポールとダイポールが組み合わさった構造に変化。これにより水平・垂直方向に放射可能。16エレメントアンテナで反射<-15 dB、利得15.5 dBi程度。ビーム制御は28 GHz帯プロトタイプで検証。
詳細は、https://doi.org/10.1109/ACCESS.2024.3436856